Even G2 をテレプロンプターにする — できるのか・どうやるのか・使い心地はどうか
できるのか
できる。しかもこの用途では現行機で頭一つ抜けている。 テレプロンプターは Even G2 の公式機能(Teleprompt)として最初から載っていて、追加アプリも改造も要らない。グリーンモノクロの HUD に原稿が浮かび、視線の先に置いたまま聴衆と目を合わせて話せる。
この機種はカメラもスピーカーも持たない「ほぼメガネ」路線だ。登壇中にかけていても機材を着けている感が出ない — テレプロンプターという用途にとって、これは仕様表に出ない最大の強みになる。原稿を読んでいることが相手から見えないプロンプターは、紙でもタブレットでも作れない。
公式仕様で確認できる範囲はこうだ。
- 原稿は PDF / Word / TXT を公式アプリにインポート、または直接入力
- スクロールは3モード: AI(発話ペースを検出して自動追従)/ 一定速度 / 手動(R1 リングかテンプルのタッチパッドでページ送り)
- 表示はフルスクリーン/ハーフスクリーンをタップで切替。表示幅もアプリのスライダーで調整できる
どうやるのか
公式アプリの Teleprompt 機能を使う。
- アプリの「Teleprompt」で Newか Importで原稿を入れる
- リストから原稿を選んで [Start]。グラス側からも、タッチパッド長押し→メニューから Teleprompt を選んで起動できる
- スクロールモードを選ぶ。騒がしい会場では AI の音声検出が乱れるので、手動モードでタップ送りにするのが公式サポートも案内する定石
- セッション中はタッチパッドのシングルタップでフル/ハーフスクリーンを切り替えられる
ここからは、プロのストーリーテラーとして G2/R1 で実際に本番をこなしている Dave Edgren の運用レポートから拾った実戦 Tips だ。
- スクロール速度は自分の早口より遅めに固定する。 彼は自然に話すと 200wpm(words per minute)になるところを 140wpm に設定し、プロンプターに喋りを制御させている。聞き手の理解が追いつく速度に矯正する道具として使うわけだ
- 本番前にスマホを再起動する。 アプリが本番中にフリーズする事故を防げた唯一の方法として、彼は「毎公演前に必ず再起動」を鉄則にしている。地味だが、壇上で表示が止まる恐怖と引き換えなら安い
ハッカー向け — 非公式 BLE プロトコルで原稿を外から流し込む
ここからが本題だ(このサイト的には)。G2 の BLE プロトコルはコミュニティの逆解析が進んでいて、i-soxi/even-g2-protocol にテレプロンプターサービス(0x06-20)の仕様がまとまっている。
- 1行約25文字×10行を1ページとしてテキストを送信できる
- 手動モード(HUD に「M」インジケータ表示)と AI モード(アニメーション表示)を外部から指定できる
- viewport 高さ・行間・フォントサイズも指定できる
つまり公式アプリを経由せず、自作スクリプトから任意のテキストを目の前に流せる。株価ティッカー、サーバー監視のアラート、配信のコメント欄 — 「視線の先に流したい文字列」があるなら何でも原稿にできる。周辺には awesome-even-realities-g2(リソース集)や openCFW(ファームウェア解析)もあり、エコシステムの開かれ方は現行 HUD グラスで最も活発な部類だ。カメラ非搭載でプライバシー面の摩擦が小さいことが、逆に開発コミュニティを集めているように見える。
注意点も正直に書いておく。
- すべて非公式の逆解析で、ファームウェア更新で仕様が変わる可能性は常にある
- 既知の制約として、約10ページ未満のコンテンツはレンダリングが乱れる・スクリプト index は既存参照のみ・認証完了タイミングの制約、が報告されている
- 当サイトではまだ実機で試せていない(未検証)。 実機を入手したら BLE 経由の流し込みを検証してこの記事を更新する
使い心地はどうか
実機検証前なので、ここは一次情報として最も厚い Edgren の長期使用レポートを軸に書く。彼は G2/R1 でフルレングスの講話を何度も本番でこなしている使い手だ。
- 良い: 「一度もアイコンタクトを失わなかった」。原稿が視線の先に浮かぶので、紙やタブレットのプロンプターと違って視線が下に落ちない。聴衆からは「原稿なしで話している人」に見える。R1 リングでのページ送りは手元がほぼ動かず、操作していること自体が見えない
- つらい: 直射日光下では表示が読めない(彼は偏光のフィットオーバーサングラスで回避している)。遠用度数でレンズを作ると近距離の文字が読みにくく、彼は DIY でバイフォーカル化までしている。度付きで作る人は「HUD の文字を読む距離」を眼鏡店に伝えるべきだ
- 安定性: アプリが固まる事故は現実に起きる。対策が前述の「本番前スマホ再起動」しかないあたりは、まだ枯れていないプロダクトだと思って付き合う必要がある
バッテリーは公称「通常使用で最大2日」だが、テレプロンプターは表示を出しっぱなしにする使い方なので消費は速い側に倒れる。長丁場の登壇やカンファレンスなら、充電ケース(公称で追加7回分)を持ち歩く前提で組むのが安全だ。
関連機種との比較
「話しながら原稿を見る」用途に限れば、比較対象は実質いない。Ray-Ban Meta (Gen 2) はディスプレイ非搭載なのでそもそも表示ができない。XREAL One や VITURE のような XR タイプは外部入力前提の大画面で、ケーブルレスで立って喋る場面には向かない。カメラ+ディスプレイ両載せの Rokid スマートAIグラスなら情報表示自体はできるが、プロンプター用途での完成度は当サイトでは未検証だ。
テレプロンプターを軸に据えた作り込みと R1 リングの操作系がある分、この用途で選ぶなら現時点では Even G2 が基準になる。人前で話す仕事をしていて、原稿と視線の両立に悩んでいるなら — この一点だけで買う理由になる機種だ。
SOURCES — この記事が参照した独立情報源
- Even G2 Discreet Smart Teleprompter Glasses - Even Realities(公式)(参照 2026-07-30)
- Teleprompt - Even Support Center(公式サポート)(参照 2026-07-30)
- i-soxi/even-g2-protocol — G2 BLE プロトコルのコミュニティ逆解析(参照 2026-07-30)
- Even Realities G2/R1 - A Storyteller's Review(Dave Edgren の長期使用レポート)(参照 2026-07-30)