Even G2 をテレプロンプターにする — できるのか・どうやるのか・使い心地はどうか

できるのか
できる。ただし、G2だけを持って壇上に立てる機材ではない。
Even G2のTelepromptは公式機能だ。アプリへTXT / DOCX / PDF(255KBまで)を入れ、AI追従・一定速度・手動ページ送りの三つからスクロールを選べる。表示幅とフル/ハーフ画面も調整できる。視線を下げずに話せる設計は、紙やタブレットにはない強みだ。
ただし「原稿がグラスに保存される」と「グラス単体で本番を完走できる」は別の話になる。公式のTeleprompt案内は、原稿をデバイスへローカル保存すると説明する一方、G2の別Q&Aは全機能にBluetoothとインターネット接続が必要としている。AI追従についても、個別の案内ではiOSはオフライン可・Androidはネット接続必須と書かれている。公式文書だけでも条件が一枚岩ではない。
実際にBluetoothを切った利用者は、開始前なら「connection lost」で起動せず、開始後でも約30秒で止まったと報告している。これは一人の実測であって全環境の断定ではない。ただ、重要な登壇を「原稿は端末にあるから大丈夫」と組む根拠にはならない。会場・自分のスマホ・アプリ版で通し稽古をして初めて使える機能だ。
どうやるのか — 本番前に潰すべき条件
まず公式アプリで原稿を入れ、会場に近い状態で次の三つを試す。ここは便利機能の説明ではなく、失敗の境界を見つける工程だ。
- 接続を試す。 スマホを普段置く場所に置き、Bluetoothだけを残した状態・通信が揺れる状態・画面ロックの状態で、開始から終わりまで原稿を出し続ける。G2本体のメニューから起動する場合、表示されるのは最近開いた20文書までという制約もある。
- 進み方を試す。 AI追従は話す速度が揺れる人には魅力的だが、ある利用者は同じ語を後で使うと段落を飛ばすと報告している。一定速度なら間の取り方で置いていかれる。言い直しや脱線を含む自分の話し方で、手動送りを本命、AI/Autoを補助として比較したほうが安全だ。
- 戻り方を試す。 R1リングは目線を外さず触れるが、ある説教で使ったG2所有者は、軽く触れただけでメニューが開きAI追従が現在位置を失うと報告している。リング、テンプル、スマホの音量キーのどれで戻すかを、台本の途中からやり直す練習で決める。紙や別画面のバックアップも、この段階で用意しておく。
この順番なら、AI追従を「うまく動けば便利」な選択肢に留められる。私は、いきなり本番でAIモードに賭けるより、まず手動または一定速度で自分の話す間を通し、そこで余裕があった場合だけAI追従を採る。G2を原稿そのものではなく、視線を保つための表示器として扱うためだ。
オフラインを求めるなら、第三者アプリは「解決済み」ではない
2026年7月、Android向けの第三者アプリ Whisprompt が登場した。作者の説明では、Evenアプリやクラウドを経由せずBluetoothでG2へ直接つなぎ、原稿をオフラインで表示・自動/手動スクロールする。v1.1の配布物はTXT / Markdown / DOCXの読み込み、進行表示などを掲げる。公式Telepromptが接続条件の不安を残す以上、この発想自体は面白い。
しかし、これはEven Realities非公認のAPKだ。Android 8以降で「不明なアプリ」のインストール、Bluetoothと通知の権限が必要になる。作者自身もプロトコル実装はクローズドソースだと説明しており、当サイトも実機・APK・送信内容を検証していない。だから「オフラインならWhispromptを入れればよい」とは書けない。機密原稿や業務端末に入れる前に、独立したテスト端末と捨て原稿で、接続・長時間表示・復帰・情報の扱いを自分で確認できる人向けの未検証ルートだ。
ハックとしては、i-soxi/even-g2-protocol のBLE逆解析もある。外部から原稿を流し込める可能性はあるが、これも公式APIではない。ファームウェア更新や接続競合で壊れる前提を飲めない本番用途には向かない。
使い心地はどうか
長期利用者Dave Edgrenは、G2/R1で実際の講話を重ね、原稿を見ながらアイコンタクトを失いにくい点と、R1で操作が目立ちにくい点を高く評価している。G2を掛けたまま人前に立てる薄さは、この用途で効く。成功例は実在する。
一方で、日光下での読みにくさ、度付きレンズでHUD文字が読める距離、アプリの安定性は事前に自分の条件で確かめる必要がある。接続やリングのトラブル報告も成功体験も、OS・会場・話し方で結論が分かれる。ここを「使える」か「使えない」かに丸めると、買った後に一番困る。
結論として、Even G2は短い登壇や練習を重ねられる話者には有力なテレプロンプターだ。ただし購入判断は、Bluetooth接続を保てるか、手動で原稿を戻せるか、非常時に別の原稿へ切り替えられるかの三つを通せるかで決めたい。完全オフラインの単体プロンプターを前提に買うなら、現時点の公式仕様だけでは足りない。
SOURCES — この記事が参照した独立情報源
- Teleprompt — Even Support Center(公式の原稿形式・操作・モード)(参照 2026-08-02)
- G2 General Q&A — Even Support Center(公式の接続条件Q&A)(参照 2026-08-02)
- Even G2 Aスマートグラス購入 — Even Realities(日本公式価格)(参照 2026-08-02)
- Even Realities、日本国内主要家電量販店でのEven G2展開および販売スケジュールを発表(Acalie発表)(参照 2026-08-02)
- Can Even G2 Teleprompt work without an active phone connection?(所有者によるBluetooth切断試験)(参照 2026-08-02)
- Teleprompter and R1(G2/R1で説教を行った利用者の操作不調報告)(参照 2026-08-02)
- Even Realities G2/R1 — A Storyteller's Review(Dave Edgrenの長期使用レポート)(参照 2026-08-02)
- Whisprompt 1.1 — GitHub Releases(非公式Androidアプリの配布情報)(参照 2026-08-02)
- Whisprompt 1.1の作者説明(非公式・クローズドソースの直接BLE実装)(参照 2026-08-02)
- i-soxi/even-g2-protocol — G2 BLEプロトコルのコミュニティ逆解析(参照 2026-08-02)
- Even G2 — Even Realities(日本公式の表示・Bluetooth仕様)(参照 2026-08-02)